いわゆる「顎が外れている」状態です。
当院では麻酔下で顎を整復してもとの位置に固定し、一ヶ月程度は食道チューブで栄養を与えています。
その後は、固定とチューブを外し、日常生活に戻ります。
顎関節脱臼
点線:左右で歯の隙間が異なっている
心室中隔欠損
左心室と右心室の間に穴が開いている状態です。
この穴が存在するため、正常では見られない血液の流れが生じます。
穴のサイズや年齢などによっては自然に閉鎖することがありますが、治療するためには手術が必要な場合もあります。
kirklinⅡ型の心室中隔欠損です
異常な穴(黄色矢印)を通過している血流が確認できます
僧帽弁閉鎖不全
主に加齢により、僧帽弁という弁が厚くなり、その結果弁の閉まりが悪くなることがあります。本来、心臓の中では血液の流れは一方通行なのですが、弁の閉まりが悪くなると一部の血液が逆流してしまうことになります。その程度がひどくなると心不全を引き起こしてしまうことがあります。
一般的には、身体検査・レントゲン検査、心エコー検査などを行い、心臓の状態に合わせて治療を行います。
治療方法には、お薬による治療と、心臓手術(弁形成・弁置換)による治療があります。
黄色や青や赤色が混ざっている部分(黄色矢印)が異常な逆流血流が見られる部分です
フィラリアによる肺高血圧症
正常な心臓とフィラリア症の心臓を見比べていただくと形が異なっているのがおわかりだと思います。赤矢印の部分は肺動脈とよばれる部位でフィラリアが寄生する部位になります。超音波を用いて心臓の内部を見てみると、心臓の一部が押しつぶされています。
フィラリアに感染してしまった場合、治療法としては手術によるフィラリアの摘出、成虫駆除薬による駆除などを行いますが、非常に状態が悪い場合は、多少の緩和的な治療しか行えない場合もあります。
正常な心臓
フィラリア症の心臓
心臓超音波検査
肥大型心筋症
はっきりとした原因は不明であり、猫の心臓病で一番多いとされています。
心臓の筋肉が異常に厚くなり、無症状~心不全まで様々な病態を引き起こす病気です。
確定診断には心臓の筋肉の組織検査が必要ですが、心臓の超音波検査で仮診断することが一般的です。
心臓の筋肉が厚くなる原因には、他の病気や状態もありますので、総合的な診断を行うことになります。
少しわかりにくいかもしれませんが、黄緑矢印の部分は、心臓が縮むときに僧帽弁という弁がひっくりかえってしまっている部分です。このような状況の時は僧帽弁逆流を生じます。
無症状の場合に、どう対応するのかといった難しい問題もありますが、少なくとも定期的な経過観察は必要であると考えます。
動脈管開存症
動脈管とは胎児のときに、下行大動脈と肺動脈を連結している管です。
根本的な原因は不明ですが、この管が出生後も閉じないことがあり、動脈開存症と呼ばれます。
一般的には、開胸による動脈管の結紮あるいはコイル塞栓術が選択されます。
赤矢印:動脈管開存部位
連続性の血流波形
左室流出路狭窄
身体検査で心雑音が聴取された場合で、ご希望いただけた時は心臓超音波検査を実施します。
左室流出路狭窄は猫ちゃんで時々見られます。多くは無症状のため経過を見ますが、中には肥大型心筋症へと移行する場合もありますので、定期的な再検査をお勧めします。
図:軽度に高速化した大動脈血流とSAMに伴う僧帽弁逆流
AO 大動脈 LA 左心房 LV 左心室
肺高血圧症
なんらかの原因のため収縮期の肺動脈の圧が異常に高くなっている状態です。
原因によって複数の症状が見られることもあります。
動物医療では僧帽弁逆流やフィラリア寄生によるものが多いとされますが、それらが見られない場合もあります。
原因に関わらず、治療は難しいことが予想されます。
左図:左心室が右心室に押しつぶされている
RV/右心室 LV/左心室
右図:正常な場合
重度の三尖弁逆流
太くなった肺動脈
全耳道切除
主に外耳炎が非常に悪化してしまい、他の方法ではどうしようもない場合に行われる手術です。
本来であれば、この手術を行わずに済む方法を模索することが最優先となります。
耳の入口から鼓膜まで全ての組織を取り除きます。
この手術を行うと耳の穴が無くなります。
少し痛々しく見えますが、この手術が必要なコ達は耳の痒みや痛みも無くなり、快適に過ごせるようになることが期待できます。
唾液瘤(だえきりゅう)
口の周りには唾液を作っている場所がいくつかあります。
その場所から、細い管を通って口の中に唾液が分泌されます。
根本的な原因がわかっていないのですが、この細い管が傷つくと皮膚の下に唾液が貯まってしまう場合があります。
貯まってしまった唾液を抜いたり、薬を飲んだりして腫れが引くこともありますが根本的な治療として唾液腺を取り除く手術があります。
手術前>
手術後>