主に外耳炎が非常に悪化してしまい、他の方法ではどうしようもない場合に行われる手術です。
本来であれば、この手術を行わずに済む方法を模索することが最優先となります。
耳の入口から鼓膜まで全ての組織を取り除きます。
鼻の穴を広げる手術
左写真よりも穴が大きくなっています。
全耳道切除
この手術を行うと耳の穴が無くなります。
少し痛々しく見えますが、この手術が必要なコ達は耳の痒みや痛みも無くなり、快適に過ごせるようになることが期待できます。
唾液瘤(だえきりゅう)
口の周りには唾液を作っている場所がいくつかあります。
その場所から、細い管を通って口の中に唾液が分泌されます。
根本的な原因がわかっていないのですが、この細い管が傷つくと皮膚の下に唾液が貯まってしまう場合があります。
貯まってしまった唾液を抜いたり、薬を飲んだりして腫れが引くこともありますが根本的な治療として唾液腺を取り除く手術があります。
手術前>
手術後>
会陰尿道瘻形成(えいんにょうどうろうけいせい)
特にオス猫ちゃんで多いのですが、尿道に結石やその他小さな物質が詰まってしまって尿が出なくなることがあります。
多くの場合は、詰まりを取ってあげて、その後に薬や専用の食餌などを与えることで管理するのですが、中には何度も繰り返してしまうことがあります。
尿が出なくなると、急性腎不全を起こし、最悪の場合亡くなってしまいます。
尿道の詰まりを繰り返してしまう場合、尿の出口を広くしてあげて尿が詰まりにくくする手術を行います。この手術はあくまでも尿を出やすくするためのものですので、同時に膀胱炎の管理が必要になることもあります。
手術後は太いカテーテルが入るようになります。
このカテーテルは数日後には取り除きます。
多発性直腸炎症性ポリープ
これはミニチュアダックスフントでよく見られる病気です。
肛門近くの直腸にたくさんのポリープができます。
初期には無症状であることが多いのですが、進行すると血便、排便時のいきみなどが見られることがあります。
場合によっては、写真のように腸が肛門から反転して出てきてしまいます。
最近では、お薬で管理することが多いのですが、ポリープがある部分の直腸粘膜を切除することもあります。
直腸が反転して出ています。
血流が悪く少し黒っぽくなっています。
プツプツと見えるものがポリープです。
鼠径ヘルニア(そけいへるにあ)
内股の部分に膨らみがあります。触診や画像検査を行い鼠径ヘルニアの診断を下します。
写真のコは膨らみの中に小腸の一部が入り込んでいました。
簡単に言いますと、異常に大きな穴が開いていて、そこからさまざまな物が出ている状態です。
手術では、その穴を閉じてあげて再度臓器などが飛び出してこないようにします。
会陰ヘルニア
お尻周りの筋肉が弱くなってしまい、その部位から様々な物が出てきてしまう状態です。
ほとんどの場合、去勢をしていない中高齢のワンちゃんで見られるものです。
排便や排尿に悪影響を及ぼすこともあり、一般的には手術による治療が推奨されます。
手術前>
肛門の左側(黄色矢印)が膨らんでいます。
手術後>
術後しばらくは患部が腫れることがありますが、多くの場合、その腫れは少しづつ良くなっていきます。
横隔膜ヘルニア
生まれつきあるいは交通事故などの外傷で横隔膜に穴が開くことがあります。
お腹の内臓が胸の中に入り込みことで、肺を押しつぶし、呼吸が苦しくなることがあります。
一般的には手術により、この穴を塞いであげます。
手術前>
手術後>
手術前には心臓がはっきり見えませんが、手術後には肺は十分に膨らんでおり、心臓もきれいにみえています。
垂直耳道切除
耳の出口に近い部分のみに異常があり、点耳などの内科治療で管理できない場合に垂直耳道切除という手術を行い症状を改善させます。
全耳道切除術と異なり、鼓膜は残存させ、耳の穴も残ります。
手術する側としてもなんとか全耳道切除を行わず、垂直耳道切除でとどめたいものです。
もちろん手術しないことがベストですが、内科管理が不可能と判断される場合、迅速に手術を行うことが最良の処置の一つと考えています。
矢印は新たに形成された耳の穴
尿管結石
特に猫で時々見られます。犬でも見られることがありますが、猫よりもまれです。
尿管に結石が詰まってしまい、腎臓の機能低下を引き起こします。
(腎機能低下の結果、結石ができるケースもあります)
軽度な場合は、なんとなく元気がない、食欲が無いというような症状のみのこともあるので早期発見が難しい場合もあります。
手術が適応できるのかどうか検討し、可能であると判断した場合はできるだけ早い対応が望まれます。
左図:水腎症(尿がうまく流れないため腎臓が膨れてしまっています)
右図:尿管結石
この患者さんでは尿管膀胱吻合術という手術を実施しました。