このワンちゃんは上のコと同じように前足を骨折してしまいました。
いくつかの条件を考慮してプレートという器具を使用して手術しました。
小型犬の橈尺骨骨折 ~プレート固定~
手術前>
手術後>
橈尺骨骨折
橈尺骨骨折~遠い部分~
橈尺骨の遠い部分のことを遠位端と呼ぶのですが、簡単にいうと手首に近い部分の骨折という意味です。骨折の治療方法を考える場合、例えばこの患者様ではプレートという道具で手術を行いましたが、ネジを何本使用できるかということは重要な要素の1つです。
今回はTのような形をしたプレートを使用することで十分な強度を保持できるように対応しました。
手術前>
「矢印」の部分3ヶ所の骨折
手術後>
小型犬の橈尺骨骨折~手術をしない治療~
ほとんどの骨折は手術が必要ですが、中には手術せずに治癒が見込める場合があります。折れ方、年齢、部位など総合的に考えて、手術の必要性を考えます。
大腿骨頭壊死症
主に成長中の小型犬に見られる病気です。大腿骨頭と呼ばれる部分の骨が破壊されてしまうため痛みを伴います。原因ははっきりしていませんが、血流が乏しいあるいはホルモンなどの関与が疑われています。
ほとんどの場合、手術治療が適応されます。
手術の方法には一般的に①大腿骨頭切除術 ②人工関節置換術 があります。
飼主様にご相談の上、治療方法を決定します。
左側の股関節(黄矢印)
右側の股関節(赤矢印)
黄矢印が異常な股関節です。
赤矢印は正常な股関節です。
形が異なるのがお分かりだと思います。
<大腿骨頭切除後>
黄矢印部分を切り落としています
前十字靭帯断裂
膝の関節には前十字靭帯という靭帯があります。生まれつきの要因、感染、炎症、ホルモン、加齢などさまざまな原因により靭帯が脆弱になり、この靭帯が切れてしまうことがあります。
靭帯が完全に切れた場合は、痛めた足を上げたままになってしまいます。
体重が軽い場合や症状が軽度の場合には、お薬などを使用した保存療法を行うことがありますが、症状が重度の場合や中~大型犬の場合では手術による治療法が選択されます。
手術の方法は細かな違いも含めると膨大な数があります。
万が一、前十字靭帯が断裂した場合には、体格や性格なども考慮して、適切と思われる治療法を提案します。
手術前>
手術後(内側半月板切除・関節外法)>
2本の黄色線の距離が術前よりも短くなっています。
足根関節脱臼
ほとんどの場合、交通事故などの大規模な受傷が原因です。
術前>
赤矢印:足根―下腿関節脱臼
黄色矢印:近位足根関節脱臼
レントゲンでは正常に見えますが、触ると脱臼が明らかです
緑矢印:骨折した骨片
術後>
開放性に複数の靭帯損傷を認めたため、創外固定法で関節固定という手術を実施しました
関節部分固定術
事故による足根骨―中足骨脱臼という状態です。
脱臼したままでは正常に歩くことが出来ませんので、手術を行いました。
関節軟骨を削り取り、その部分に海綿骨という自己の骨を置いて、金属インプラントで固定するという方法です。
術前に脱臼している部分(赤矢印)が、術後には癒合(一つの骨のようにくっついている状態)しています(黄色矢印)。
椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアは一般的に症状から疑いますが、確定診断を行うには脊髄造影検査、CT検査、MRI検査のいずれか1つが最低限必要になります。
図は造影CTと呼ばれる検査画像です。正常な部位(赤矢印)では白いリングがはっきり見えますが、ヘルニアを起こしている部位(黄色矢印)では、はっきりとは見えず、輪郭も歪んで見えます。症状が中程度~軽度の場合はまず、安静などの保存療法をお願いしていますが、重度な場合や明らかに悪化傾向にある場合は迅速な検査および手術の必要性を検討する必要があります。
手術が必要な場合、ヘルニアの部位、範囲、タイプなどに合わせて手術計画を立てます。
正常な部位
ヘルニアの部位