赤丸の部分を見比べてください。赤丸の部分は鼻の中です。左の図ではほぼ真っ黒であるのに対して右の図では白い部分がほとんどです。黄色の部分は骨が消失しています。
この画像のみでも腫瘍(がん)を強く疑いますが、一般的には病理組織検査という検査を実施して診断を下します。
鼻水が止まらない、鼻血が出る、くしゃみが多くなってきたなど一見すると軽い病気のような症状から始まることがほとんどです。特に、中高齢で鼻の症状が出てきた場合は順序立てた検査を行うことをご提案いたします。
鼻のリンパ腫

正常

鼻のリンパ腫
皮膚型リンパ腫
一見すると少しひどい皮膚病に見えるかもしれませんが、皮膚型リンパ腫は腫瘍(皮膚のがん)です。
口の周りや肛門周りなども同じような症状が見られることが多いです。
典型的ではない皮膚の異常に遭遇した場合、皮膚の病理検査をご提案させていただくことがあります。
そうすることで、悪性の病気や一般的な皮膚の治療では改善しない皮膚病の早期診断に繋がります。

縦隔型リンパ腫
多くは、息が苦しそう、食欲がない、元気がないといった症状でご来院されます。
多くの場合、猫白血病ウイルスが関与していると言われます。



必要に応じて特殊検査を行うこともあります。
肝臓腫瘍
中高齢になると肝臓に腫瘍ができることがあります。
一部の腫瘍を除き、手術を検討する場合があります。
その場合は、造影CT検査を実施して、腫瘍の性状を調べた上で治療計画を立てることが理想的です。

膀胱移行上皮癌
特に中高齢の犬で血尿が続く場合は、一般的な尿検査のみではなく超音波検査を実施されることをお勧めします。



肛門周囲腺腫
一般的に去勢をしていない中高齢の犬に見られます。
良性腫瘍ですが、中にはとても大きくなるものがあります。
すべてのしこりに言えることですが、はじめは様子を見ていても大きくなっている場合早めに摘出することでいろいろな負担を軽くすることができます。

核硬化症
ワンちゃんの場合、5歳を超える辺りから両目が青白く見えることがあります。
白内障と心配されることもあるのですが、核硬化症であることが多いです。
白内障は治療あるいは定期的な観察が必要であるのに対して、核硬化症は治療や追加検査が必要になることはあまりありません。

角膜潰瘍
主になんらかの外傷によって角膜に傷がついてしまうことがあります。
原因となるような異常がなく、傷が浅い場合は適切な点眼治療を行えば1週間程度で治癒します。
一方で、単純なケガが原因でなかったり、高齢であったり、傷が深い場合は目薬だけでは治癒しないこともあり、その場合は外科的な対応を含めた緊急対応が必要になります。状態に合わせて治療する必要があります。

黄緑色に染まっている部分(赤矢印)が、傷ができている部位です。
角膜内皮ジストロフィ

水晶体前方脱臼

目が白く濁っていて、内部の観察が出来ない場合、超音波検査を行うことがあります。
左(L)は正常な眼ですが、水晶体の上部に前眼房(赤↔)が確認出来ます。
一方で、右(R)は水晶体の位置が上方へ移動しています。水晶体そのものの異常も確認できます。
原因は、生まれつきの素因、事故や眼内の疾患によるものがあります。
いずれの原因にしても、理想的には緊急的な対応を求められる疾患の1つです。
治療として推奨されるのは、水晶体の摘出±人工レンズの装着と考えられます。
飼主様の希望、動物の状態や年齢によって治療方針が決定されます。