副腎皮質機能亢進症は比較的遭遇することが多い、ホルモン異常による病気です。この病気を疑うあるいは診断する際は、症状がとても重要です。一般的に飼い主様が気づかれる症状は、水をたくさん飲む、お腹が丸くなってきた、毛が薄いなどが多いと思います。典型的な症状が認められる場合には、ホルモンの検査を行います。補助的に画像検査を行うこともあります。原因はおよそ90%が脳内の下垂体腺腫(良性腫瘍)で10%が副腎の腫瘍と言われています。画像は脳の下垂体という部分の異常によるクッシング症候群のものです。
副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
R AD 右の副腎 CVC 後大静脈 AO 大動脈 右の副腎が大きくなっており(8.8mm)*、その形状は比較的正常に保たれています。 *およそ正常サイズの上限は7mm程度
右と同様に、左の副腎も大きなっており(8.5mm)、その形状は正常な形を保っています。
心タンポナーデ
心臓は心嚢膜という膜に包まれており、潤滑剤の働きをするわずかな液体(心嚢水)が溜まっています。 ところが、この液体が過剰に溜まることがあり、心臓が十分に膨らむことができなくなる場合があります。 この状態のことを心タンポナーデといいます。 迅速に液体を抜くことと、原因追及が必要になります。
撓側手根骨の骨折・脱臼
手術前
関節固定術実施後
左右仙腸関節脱臼
高所からの落下による左右仙腸関節脱臼
手術後
鼻の穴を広げる手術
左写真よりも穴が大きくなっています。
結膜フラップ
デスメ膜が飛び出していて、角膜は混濁しています
デスメ膜瘤や深い角膜潰瘍では、角膜穿孔(角膜に完全に穴があいてしまうこと)の危険を伴います。 写真は角膜穿孔を回避するために行った結膜フラップという手術を行ったものです。
この患者さんの目にも大きくて深い傷ができています。
結膜フラップを行ったあとの様子です。
リンパ腫
リンパ腫とは血液のがんで、体のさまざまな部位で発生します。
特に、犬や猫ではよく見られる腫瘍の1つです。
完治(体の中から全ての癌細胞を無くすこと)は困難ですが、化学療法を中心とした治療を行い、生活の質を向上を目指します。
これは盲腸に発生したリンパ腫です。食欲の低下と頻繁な嘔吐があるということで来院されました。腫瘍が大きく、消化管の中を食事が通ることが出来ない状態でした。一般的には、リンパ腫の場合、化学療法が選択されますが、このケースでは空腸―盲腸―結腸を切除し、その後化学療法を開始しました。
腎臓に発生したリンパ腫です。左は治療前の腎臓です。特に△部分に異常を認めます。
化学療法開始後は右のような正常に近い形態になり、腎臓の血液検査の値も大幅に改善してくれました。
鼻のリンパ腫
赤丸の部分を見比べてください。赤丸の部分は鼻の中です。左の図ではほぼ真っ黒であるのに対して右の図では白い部分がほとんどです。黄色の部分は骨が消失しています。
この画像のみでも腫瘍(がん)を強く疑いますが、一般的には病理組織検査という検査を実施して診断を下します。
鼻水が止まらない、鼻血が出る、くしゃみが多くなってきたなど一見すると軽い病気のような症状から始まることがほとんどです。特に、中高齢で鼻の症状が出てきた場合は順序立てた検査を行うことをご提案いたします。
正常
鼻のリンパ腫
皮膚型リンパ腫
一見すると少しひどい皮膚病に見えるかもしれませんが、皮膚型リンパ腫は腫瘍(皮膚のがん)です。
口の周りや肛門周りなども同じような症状が見られることが多いです。
典型的ではない皮膚の異常に遭遇した場合、皮膚の病理検査をご提案させていただくことがあります。
そうすることで、悪性の病気や一般的な皮膚の治療では改善しない皮膚病の早期診断に繋がります。
縦隔型リンパ腫
多くは、息が苦しそう、食欲がない、元気がないといった症状でご来院されます。
多くの場合、猫白血病ウイルスが関与していると言われます。