ワンちゃんの場合、5歳を超える辺りから両目が青白く見えることがあります。
白内障と心配されることもあるのですが、核硬化症であることが多いです。
白内障は治療あるいは定期的な観察が必要であるのに対して、核硬化症は治療や追加検査が必要になることはあまりありません。
結膜フラップ
デスメ膜が飛び出していて、角膜は混濁しています
デスメ膜瘤や深い角膜潰瘍では、角膜穿孔(角膜に完全に穴があいてしまうこと)の危険を伴います。 写真は角膜穿孔を回避するために行った結膜フラップという手術を行ったものです。
この患者さんの目にも大きくて深い傷ができています。
結膜フラップを行ったあとの様子です。
核硬化症
角膜潰瘍
主になんらかの外傷によって角膜に傷がついてしまうことがあります。
原因となるような異常がなく、傷が浅い場合は適切な点眼治療を行えば1週間程度で治癒します。
一方で、単純なケガが原因でなかったり、高齢であったり、傷が深い場合は目薬だけでは治癒しないこともあり、その場合は外科的な対応を含めた緊急対応が必要になります。状態に合わせて治療する必要があります。
黄緑色に染まっている部分(赤矢印)が、傷ができている部位です。
角膜内皮ジストロフィ
水晶体前方脱臼
目が白く濁っていて、内部の観察が出来ない場合、超音波検査を行うことがあります。
左(L)は正常な眼ですが、水晶体の上部に前眼房(赤↔)が確認出来ます。
一方で、右(R)は水晶体の位置が上方へ移動しています。水晶体そのものの異常も確認できます。
原因は、生まれつきの素因、事故や眼内の疾患によるものがあります。
いずれの原因にしても、理想的には緊急的な対応を求められる疾患の1つです。
治療として推奨されるのは、水晶体の摘出±人工レンズの装着と考えられます。
飼主様の希望、動物の状態や年齢によって治療方針が決定されます。
白内障
水晶体(いわゆるレンズ)が白く濁る病気です。
レンズが白くなるので、物が見えにくくなることは想像しやすいと思いますが、それ以上にぶどう膜炎や緑内障などの合併症の発生に配慮しなければいけません。
特に若い年齢で発症した場合、進行速度は早いので迅速な治療が推奨されます。
レンズ(矢印)が白くなっています。 白目の充血や不快症状は見られていません。
デスメ膜瘤
何らかの原因で角膜にとても深い傷ができて、デスメ膜という膜が飛び出している状態です。まれに、多くの目薬や飲み薬で改善してくれることもありますが、原則的には迅速な外科的処置が望まれます。
角膜は全体的に腫れていて、中央部(矢印)は盛り上がっています。 中央付近のクリーム色の部分は細菌感染を起こしており、非常に緊急度が高い状態です。
まぶたのできもの(眼瞼腫瘤)
多くは中~高齢で見られます。
犬の場合はその多くが良性であると言われています。
そのため、様子を見ることもありますが、大きくなっているようなときは早めに手術で取り除いてあげたほうが良いです。
目やにや充血も見られています
チェリーアイ(瞬膜腺脱出)
瞬膜腺というものが飛び出してしまう異常です。
若い年齢から見られることが多いです。
そのままにしておくと目やになどの不快症状が出ることも少なくないので早めに治療(手術)することをお勧めします。
ピンク色のもの(瞬膜腺)が飛び出しています。目やにも多く見られます。
整復手術後
角膜黒色壊死症
はっきりとした原因はわかっていませんが、典型例では図のように特徴的な黒色の異常が見られます。一般的には内科的な治療が行われますが、その間に穿孔(角膜に穴が開いてしまうこと)することがあるので油断はできない状態です。